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第3章 № 03 · 2026

第3章 自分の環境を Claude に伝える方法

ハードウェア・ソフトウェアの情報を取り、構造化してClaudeに渡す

なぜ「環境を伝える」専用の章があるか

第2章で「文脈を渡す」ことの重要さを書いた。第3章は、その文脈のうち最も具体的な部分——ハードウェアとソフトウェアの情報——を、どう取り出して、どう整えてClaudeに渡すかを扱う。

Debianのインストールに入る前に、今使っているPCの素性を把握しておく必要がある。CPUは64ビットか、メモリは何GBか、ストレージは何で、無線LANチップは何か、入っているソフトは何か。これらが分からないと、Claudeは一般論しか返せない。

この章の終わりに、あなたの手元には my-system.md という一枚のファイルが残る。これが第4章以降の全ての議論の土台になる。

第一節 今のOSから情報を取り出す

Windowsからの情報取得

Windowsを使っているなら、PowerShell(スタート→「PowerShell」と打って起動)で次のコマンドを一つずつ実行する。

# システム情報
Get-ComputerInfo | Select-Object CsName, CsManufacturer, CsModel, OsName, OsVersion, CsProcessors

# メモリ総量
(Get-CimInstance Win32_PhysicalMemory | Measure-Object Capacity -Sum).Sum / 1GB

# ストレージ
Get-CimInstance Win32_DiskDrive | Select-Object Model, Size, InterfaceType

# ネットワークアダプタ
Get-NetAdapter | Select-Object Name, InterfaceDescription, Status, LinkSpeed

# グラフィックス
Get-CimInstance Win32_VideoController | Select-Object Name, AdapterRAM, DriverVersion

# インストール済みソフト(抜粋)
Get-ItemProperty HKLM:\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Uninstall\* |
  Select-Object DisplayName, DisplayVersion, Publisher |
  Where-Object { $_.DisplayName -ne $null } |
  Sort-Object DisplayName

macOSからの情報取得

macOSを使っているなら、ターミナル(Spotlightで「terminal」)で次を実行する。

# ハードウェア概要
system_profiler SPHardwareDataType

# ストレージ
diskutil list

# ネットワーク
networksetup -listallhardwareports

# アプリ一覧
ls /Applications

# Homebrewで入れたもの(使っていれば)
brew list

Linux(既にLinuxを使っている場合)からの情報取得

既にLinuxを触っているなら、次を実行する。これらはDebianに移行後も同じコマンドだ。

# CPU
lscpu

# メモリ
free -h

# ストレージ
lsblk -o NAME,SIZE,TYPE,MOUNTPOINT,FSTYPE

# PCIデバイス(GPU、無線LANなど)
lspci -nnk

# USBデバイス
lsusb

# 入っているパッケージ(Debian/Ubuntu系)
dpkg -l | awk '{print $2, $3}' | head -50

# カーネルと発行版
uname -a
cat /etc/os-release

Claudeに聞いてみよう①:コマンド群を自分のOS向けに調整

私は現在〔Windows 11 / macOS Sonoma / Ubuntu 22.04 など〕を使っています。この章の「環境情報を取り出すコマンド集」を、私のOSに合わせて一度に流せる形にまとめてください。各コマンドが何を取るものかのコメントを添えてください。Claudeに渡すときに見やすいように、出力はMarkdownのコードブロックで返す形にしてください。

Claudeにコマンドを整形してもらう発想自体が、この本の流儀だ。自分で覚える必要はない。

第二節 出力から「Claudeに渡すべき部分」を選ぶ

全部渡すとノイズになる

Get-ComputerInfolspci -v の出力は、全部貼ると数百行になる。全部渡すとClaudeが迷う。渡すべきはポイントを絞った要約だ。

以下の項目を拾って、一枚のMarkdownファイルに整える。

my-system.md の骨格

# 私のシステム情報(2026-04-23 時点)

## 機械
- メーカー / モデル / 年式:
- CPU(モデル名、コア数、周波数):
- メモリ:〇GB
- ストレージ:〇GB(SSD/HDD、NVMe/SATA)
- GPU:
- ディスプレイ:解像度、内蔵/外付け
- 無線LANチップ(Intel AX210, Realtek RTL8821CE 等):
- Bluetooth:有/無
- 指紋認証・顔認証:有/無、メーカー・型番
- USB ポート構成:Type-A ×〇、Type-C ×〇、Thunderbolt 有/無

## 現在のOS
- OS名・バージョン:
- BitLocker/FileVault の有効/無効:
- Secure Boot の有効/無効:
- TPM:有無とバージョン

## 日常的に使うソフト
- ブラウザ:
- メール:
- オフィス:
- 画像編集:
- 音楽・動画:
- 仕事で必須のもの:

## 周辺機器
- プリンタ(メーカー、モデル):
- スキャナ:
- ペンタブレット:
- 外付けモニター:

## ネットワーク環境
- 自宅の Wi-Fi(2.4/5/6 GHz、暗号化方式):
- 職場の VPN の種類(もしあれば):
- 日本語入力の現在の方法:

各項目に、第一節で取ったコマンドの出力から該当する情報を入れる。全項目を埋める必要はない。分からない項目は「不明」と書いておく。

「無線LANチップ」と「GPU」が特に重要

Debianインストールで最初に引っかかるのはこの二つだ。

この二つは、必ず my-system.md に書き込む。後でClaudeに「私のチップでDebianは安定しますか」と聞くと、具体的な答えが返る。

Claudeに聞いてみよう②:取った情報の整形を依頼

私のPCから次の情報を取りました。〔第一節のコマンドの出力を貼る〕

これを、私の my-system.md の骨格に整えてください:〔上のテンプレートを貼る〕

分からない項目は「要確認」と書き、それを調べるためのコマンドを添えてください。

この一往復で、あなたの手元にシステム情報の要約ファイルができる。

第三節 Claudeにとって読みやすい書き方

Claudeが得意な形式

Claudeは次の形式を特に読みやすい。

逆に、次は避ける。

ファイル全体をまるごと渡すコツ

my-system.md のような設定ファイルやログは、Claudeに「ファイル名を明示して」渡す。

my-system.md:
〔ファイルの中身をそのまま貼る〕

この書き方をすると、Claudeは「これはファイルだ」と認識して、後の対話で「my-system.md の GPU 欄を書き換えてください」のように名前で参照できる。

Claudeに聞いてみよう③:書き方そのものを検証

次の二つの書き方のどちらが、Claudeにとって扱いやすいですか。理由も添えてください。

A:「私のPCはDell Latitude 7420で、メモリは16GB、CPUはi7、ストレージは512GBのSSDで、無線はIntelの何かです」

B:

- メーカー / モデル:Dell Latitude 7420(2021)
- CPU:Intel Core i7-1165G7(4コア8スレッド、最大4.7GHz)
- メモリ:16GB DDR4-3200
- ストレージ:Samsung PM981a 512GB(NVMe SSD)
- 無線LAN:Intel Wi-Fi 6 AX201

Claudeは後者を推すはずだ。以降、自分もそういう書き方をする。

第四節 プライバシーを守りながら渡す

見落としがちな情報漏れ

環境情報の中には、そのままClaudeに渡すべきでないものが混じる。

渡す前に一度読み返す

コマンドの出力をコピーしたら、貼り付ける前に一度目で読む。気になる文字列があれば、[REDACTED] などに置き換える。

# 置き換え例
ホスト名:YAMADA-LATITUDE-7420  →  [hostname]
ユーザー名パス:C:\Users\yamada\  →  C:\Users\[user]\
MAC:A1:B2:C3:D4:E5:F6  →  [mac]

これだけでClaudeの答えの質は変わらない。プライバシーは守られる。

Claudeに聞いてみよう④:情報の機微を確認

次のテキストをClaudeに渡す前に、プライバシーの観点で置き換えるべき箇所を指摘してください:

〔自分が集めた情報を貼る〕

置き換え後の推奨表記も添えてください。

Claudeに情報の機微を判断させるのは逆説的だが、実用上うまく機能する。一度この作業をすると、次回からは自分で気付くようになる。

まとめ

この章でやったこと:

  1. 現OSから環境情報を取り出すコマンドを実行した
  2. 出力から「Claudeに渡すべき要点」を選別した
  3. my-system.md に一枚にまとめた
  4. 書き方の形式(Markdown、表、コードブロック)を整えた
  5. プライバシー上問題のある情報を置換した

手元に残ったもの:

次の第4章では、この環境情報を元に、依存関係の棚卸しをする。「このソフトは何に依存しているか」「このデータは何に紐付いているか」を Claude と一緒に整理して、Windows を消す前に確認すべきものを全て洗い出す。


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