Claude × Debian 18

第18章 問題が起きた時の対処

起動しない、画面が出ない、アプリが動かない——段階的に戻す

危機の段階

トラブルは次の段階で深刻化する。手前で止めれば、戻すのが楽だ。

  1. アプリが落ちる:個別アプリの問題
  2. DEの一部が動かない:パネルが出ない、アイコンが動かない
  3. ログインできない:パスワード後に黒画面
  4. 起動しない:GRUBから進まない、カーネルパニック
  5. BIOSから先へ進まない:ハードウェア疑い

各段階で、対処の道具が違う。

第一節 アプリが落ちる

まず症状を特定

# コマンドラインから起動して、エラーメッセージを見る
                アプリ名

                # 例:Zed が落ちるなら
                zed --foreground

                # Flatpak アプリ(例: Chrome)なら
                flatpak run --verbose com.google.Chrome
                

よくある原因

  • 拡張機能の衝突 → 一個ずつ無効化
  • 設定ファイルの破損 → ~/.config/<アプリ名>/ をリネーム、デフォルトで起動
  • メモリ不足 → htop でメモリ残量
  • GPUアクセラレーションの問題 → --disable-gpu 等のフラグ

Claudeに聞いてみよう①:アプリクラッシュの切り分け

次のアプリが起動直後に落ちます:〔アプリ名、バージョン〕

コマンドラインから起動した出力:

〔エラー全文〕
                

原因の可能性を優先度付きで3つ挙げてください。 一つずつ試す手順を、破壊的でないものから順に。

第二節 DEの一部が動かない

症状例

  • パネル/タスクバーが出ない
  • アイコンをクリックしても反応しない
  • アニメーションがカクつく
  • 画面がちらつく

対処

# GNOMEの場合、Wayland 上で X11 キーを押せないので Tty に切り替え
                # Ctrl + Alt + F3 でTTY3 にログイン

                # DEを再起動
                systemctl --user restart gnome-shell
                # または
                sudo systemctl restart gdm     # GNOMEのログインマネージャ
                sudo systemctl restart sddm    # KDEの
                sudo systemctl restart lightdm # Xfceの
                

セッションを捨ててやり直す

~/.config/ 内の特定アプリ設定、~/.cache/ を削除して再ログイン。設定がリセットされるが、日常業務は戻る。

第三節 ログインできない

症状:パスワード入力後、画面が真っ黒

ログインマネージャからセッションに入れない場合、多くはセッションの設定かホームの権限の問題。

対処

  1. Ctrl + Alt + F3 でTTY(テキストコンソール)へ
  2. テキストベースでログイン
  3. ~/.xsession-errors を見る
# エラーログ確認
                less ~/.xsession-errors

                # ホーム直下の設定ディレクトリを疑う
                ls -la ~/ | grep -E "\.(config|cache|local)"

                # キャッシュクリア
                rm -rf ~/.cache/*
                

Claudeに聞いてみよう②:ログイン不能の切り分け

Debian の GUI にログインできません。パスワード入力後、画面が真っ黒になります。 TTYには入れます。

~/.xsession-errors の末尾:

〔最後の50行〕
                

原因と、次に試すべき手順を5つ、リスク順に提示してください。

第四節 起動しない

ここからが本番。落ち着いて、一つずつ

GRUBが出ない、またはGRUBで止まる

BIOSから起動順序を確認。誤って別のディスクを優先にしていないか。

カーネルパニック

画面が真っ赤、または大量のエラーで止まる。

  1. 再起動して、GRUBメニューが出たら e を押してエディットモード
  2. linux で始まる行を探し、末尾に nomodeset を追加(GPU関連の問題回避)
  3. Ctrl+X で起動

これで起動できれば、GPUドライバの問題が濃厚。sudo apt install --reinstall <該当ドライバ> を試す。

一つ前のカーネルで起動

GRUBメニューで「Advanced options for Debian」を選ぶと、過去のカーネルが並ぶ。一つ古いカーネルで起動してみる。

  • 古いカーネルで起動できれば、最新カーネルの問題
  • 古いカーネルも動かないなら、それ以外の問題

Claudeに聞いてみよう③:起動不能の段階的診断

Debianが起動しません。症状:

〔できれば画面を撮影した内容を文字で〕
                

次の順で切り分けたいです: (1) BIOS の起動順序 (2) GRUB からカーネルオプションを追加(nomodeset等) (3) 一つ古いカーネルでの起動 (4) レスキューモード (5) ライブUSBからのchroot

各段階の具体的な操作と、成功判定の仕方を教えてください。

第五節 ライブUSBからのchroot復旧

起動が全く不能になったときの最終手段。

準備

  1. 第7章で使ったDebianインストーラのUSB(まだ持っているはず)を挿す
  2. UEFIでUSB起動
  3. インストーラの選択肢から「Rescue mode」または別PCで作った Debian Live USB

手順

# Rescueモードまたは Live USB で起動したら
                # ディスクを確認
                lsblk

                # 暗号化されている場合は解除
                sudo cryptsetup open /dev/nvme0n1p3 root_dm
                # パスフレーズ入力

                # 論理ボリュームを有効化(LVMの場合)
                sudo vgchange -ay

                # ルートをマウント
                sudo mount /dev/mapper/<ルートLV> /mnt
                sudo mount /dev/nvme0n1p2 /mnt/boot      # /boot が別パーティションの場合
                sudo mount /dev/nvme0n1p1 /mnt/boot/efi

                # 必要な仮想ファイルシステムを bind
                for d in dev proc sys run; do
                  sudo mount --bind /$d /mnt/$d
                done

                # chroot で本環境に入る
                sudo chroot /mnt
                

ここから中で aptdpkgupdate-initramfsupdate-grub などを叩いて復旧する。

Claudeに聞いてみよう④:chroot後の復旧コマンド

Debian Live USB から chroot で既存システムに入りました。 問題:〔カーネル更新後に起動しなくなった/GRUBが壊れた//etc/fstabを壊した〕

chroot内で実行すべき復旧コマンドを、順に示してください。 各コマンドの意味と、失敗したら次に何をするかも。

第六節 データを救う

最悪、システムを諦めて再インストールする場合でも、データは救う

ライブUSBからのマウント

# Live USBで起動
                sudo mkdir /mnt/rescue
                sudo mount /dev/mapper/<ルートLV> /mnt/rescue
                cd /mnt/rescue/home/<あなた>

                # 外付けSSDをマウント
                sudo mkdir /mnt/backup
                sudo mount /dev/sdc1 /mnt/backup

                # コピー
                sudo rsync -av . /mnt/backup/rescued-home/
                

これで、OSを再インストールしてもデータは守られる。

この作業は第4章の「完全バックアップ」が事前にあれば不要。事前の備えが、いざというときの安心になる。

第七節 再インストールという選択

どうしても復旧できない場合、再インストールは失敗ではない

第12章で dotfiles と apt-manual.txt を Git 管理にしていれば、再インストール後は:

# 新Debian で
                git clone https://github.com/あなた/dotfiles.git
                cd dotfiles
                ./install.sh
                ./apt-restore.sh
                

これで数時間で元の環境が戻る。「再インストールできる」こと自体が、Debianの強みだ。

第八節 トラブル対処の心得

冷静を保つ

パニックになると、余計に壊す。コーヒーを淹れる、深呼吸する、紙に症状を書く——数分でも離れて戻ると、見える景色が変わる。

変更は一つずつ

復旧中に「これも」「あれも」とやると、何が効いたか分からない。一つ試して、結果を見て、次に進む

ログを取る

画面を撮影、コマンドの出力を保存、エラーメッセージをメモ。Claudeに渡す材料が、そのまま自分の将来の参考になる。

時間を区切る

「今晩で直す」と決めたら、ダメなら寝る。寝て起きると、答えが見えることが実に多い。

Claudeに聞いてみよう⑤:トラブル時のテンプレ

私は次のトラブルに遭遇しています:〔症状〕

これまで試したこと:〔箇条書き〕 現在の状況:〔箇条書き〕 手元にある道具:〔ライブUSB、別PC、スマホ、等〕

次に試すべき手順を、リスク順で3つ。各手順の所要時間の見込み、失敗時の次の一手を。 私が疲れてきたら、安全に一時停止する方法も添えてください。

まとめ

この章でやったこと:

  1. トラブルの五段階を分類した
  2. アプリ/DE/ログイン/起動/BIOS段階の対処を整理した
  3. ライブUSBからのchroot復旧を覚えた
  4. データ救出の手順を用意した
  5. 再インストールを最終選択として位置付けた
  6. トラブル時の心得(冷静・一つずつ・ログ・時間)を確認した

手元に残ったもの:

  • ライブUSBと外付けSSD(常備)
  • トラブル時のテンプレプロンプト
  • dotfiles + apt-manual.txt による「再インストールでも戻せる」安心

次の第19章では、育てる視点に入る。目の前を回すだけでなく、あなたのDebian環境を長期的に自分色に変えていく方法を扱う。


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壊れた日ほど、冷静に。

最もまずい判断は「焦って再インストール」。この章の手順で段階的に切り分ければ、9割のトラブルはデータを保ったまま戻せる。

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